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7割以上が無事出産

流産は10~15%の頻度で生じます。2回以上の流産の頻度は欧米では0.8~1.4%、3回以上の流産既往は0.8%とされています。我が国における調査では2回以上の流産既往は4.2%、3回以上の流産既往は0.88%という結果でした(Sugiura-Ogasawara, et al. JOGR. 2013;39:126-131.)。

また、不育症女性の4割は強い心のストレスを抱えていたことも判明しました。

一方、専門外来で検査、治療した人のうち7割以上が無事、出産できています。研究班では夫婦だけで悩まずに専門医を受診するよう呼びかけています。

研究班には、富山大、名古屋市大、慶應大、東京慈恵医科大、日本医科大、神戸大、成育医療センター、岡山大、大阪大、東大、川崎医科大、日大、弘前大、保健医療科学院、九州大、山形大、大阪府立母子保健センター、杉ウイメンズクリニック、新潟大が参加して不育症のリスク因子を調査しました(2008~2011年)。

2016~2018年には日本医療研究開発機構成育疾患克服等総合研究事業に採択され、最新の知見に基づく不育症のスクリーニング法、治療法が研究されました。そのため、これまでの記載を若干修正しています。研究班には、富山大、神戸大、東大、岡山大、日本医科大、兵庫医科大、成育医療センター、藤田医科大、杉ウイメンズクリニックが参加しております。

不育症のリスク別頻度

リスク因子は様々で、夫婦の両者か一方に染色体構造異常がある場合のほか、子宮の形の異常、免疫異常で胎盤などに血栓や炎症が生じやすい抗リン脂質抗体症候群などが考えられました。これらの場合、いろいろな治療を行ない、流産を減らすことが可能です。そのため、不育症例では検査を受ける事を推奨します。原因不明が65.3%と多いのに驚かれたことと思います。

このような方でも、何も治療法がないと落胆する必要はありません。一般に流産は妊娠の約15%に起こり、流産の約60~80%は赤ちゃんの染色体異常を合併しており、自然淘汰ととらえることができます。そのため3回の流産をした方で、たまたま赤ちゃんの染色体異常をくり返している方は確率的に50%存在します。これらの方は流産となる要因が何もなく特別な治療をしなくても次回の妊娠では約7割の方が流産せずに赤ちゃんを出産されます。勇気を持って次回の妊娠に臨みましょう。